「自己実現」と「顧客の創造」に貢献します
◆リーダーに求められるもの-「リーダーシップ」と「専門性」
リーダーには最適化と変革・創造が期待されます。最適化とは与えられた資源、予算、期間の中で最大の成果をあげることであり、変革と創造とはいま行っている仕事を中・長期的な視点に立って改善する、あるいは新しい価値を付加していく活動です。一般的に初級管理職では最適化と変革・創造を別の職務として分担する場合が多く、上級管理職では一体の職務として担当することが求められます。いずれにしてもリーダーには組織を率いて自ら先頭に立って実行し、成果を生み出すことが求められ、企業はそのために必要な「能力」と「意欲(覚悟)」を持つリーダーを育成していく必要があります。
変革と創造はプロフェッショナルによって行われる仕事です。そのためプロフェッショナルには「リーダーシップ」と「専門性」が求められます。「専門性」は知識や技術・ノウハウなどの専門力や専門分野における社内外の人的ネットワーク、職業倫理などをあわせた概念です。また、係長・課長・部長の職位によって、求められるリーダーシップや専門性のレベルは異なります。
企業はリーダーシップや専門性を新入社員の段階から計画的に育成していく必要があります。その際新入社員から課長職までの間は共通のシナリオで行うことが可能です。しかし、個性の差異が大きくなってくる部長職以上では、育成のシナリオをパターン化することが得策であるとはいえません。
◆現代におけるプロフェッショナルのイメージ
プロフェッショナルな人材の代表的な意識やイメージは、「自ら考え、自ら決断し、すべてに責任を負う」(自律性)、「自己の満足と顧客の利益のために品質にこだわる」(利他性)、「社会的に認知された高度な専門技術・知識を持つ」(専門性)、「正義の質に責任を負う」(倫理性)などの言葉に集約できます。
「自律性」はいわゆるオーナーシップ(援助に頼らず主体的に取り組むこと)です。「利他性」は「プロの論理」と呼ばれているもので、非常に重要な要素です。アメリカのベストセラーに『Professionalism - The Third Logic』という本があります。第三の論理とは「自由市場の論理」「管理の論理」に続く「プロの論理」です。そこではプロフェッショナルとはお客様から求められた製品やサービスを単に提供するだけではなく、提供する製品・サービスの品質に自分なりのこだわりを持ち、お客様が期待していたイメージを超える品質を持つ製品やサービスを提供する人材であると定義されています。著書フライドソンは、アメリカの社会は「競争すればいいものができる」、「管理すれば安くできる」という論理ばかりが先行しがちで、自己と顧客のためにこだわる「プロの論理」を忘れているのではないかと警句を鳴らしているのです。また、最後の「倫理性」は言葉で規定されているいないにかかわらず守るべきことは守るという意思決定や行動を意味しています。
◆プロフェッショナルに関する誤解
日本ではプロフェッショナルという言葉は誤解されて使われてきました。最も代表的な誤解はスペシャリストとプロフェッショナルの混同です。海外ではこの2つは明確に区別されており、プロフェッショナルはスペシャリストより圧倒的に高い地位にあります。
スペシャリストはある部分に精通している人のことをいい、専任職です。あくまでも限られた範囲の中でより正確、より迅速に仕事を行えることがスペシャリストとしての成長であり、成長には限界があります。
それに対してプロフェッショナルは、専門職であり、仕事の深みを追求する人です。プロフェッショナルに成長するまでは時間がかかりますが、成長は止まることなくどんどん個性化していくのです。あるプロフェッショナルに関する研究では、1つの仕事でプロフェッショナルというレベルに達するまでは10年かかり、プロフェッショナルとして世の中から評価されるすなわち頂点を迎えるまでにはさらに10年の年月がかかるとされています。
◆日本の伝統的な成長段階の概念-「守」「破」「離」
プロフェッショナルになるまでに10年かかることを前提としてその成長段階を考えると、最初の10年はプロフェッショナルになるための「型」を作る時期にあたります。「型」には知識だけでなく言葉にできないものまであらゆる物が含まれます。それを持っていればどのような仕事においても一定以上の成果を上げられるという状態にあることが「型を持っている」状態です。「型」を習得するまでは勝手なことをするな、いきなり自己流で仕事を行うなというのが「守」の概念です。「型」を習得すると、「型」のうえに特定の分野におけるプロフェッショナルとして、自分ならではの方法を加えて仕事を個性化し、成果を実現することで評価される「破」の段階に移行します。そして、さらに高次の使命を持ち、その職業全体の倫理を担う代表的な人材、「離」の段階へと成長していきます。「型」を習得する段階をどのような形で行っていくのかということが企業の人材育成における大きな課題となります。
また、プロフェッショナルには「ビジネスリーダー型」「プロデューサー型」「エキスパート型」という区別があります。ビジネスリーダー型とは経営を担うミッションを持つプロフェッショナルであり、いわば経営のプロと呼ばれます。プロデューサー型とは新規事業開発の専門家というような変革・創造を担うミッションを持つプロフェッショナルです。また、エキスパートとは特定の分野技術を担うミッションを持つ人であり、その分野のプロといわれる人です。このように幅広い分野にさまざまなプロフェッショナルが存在します。だからこそ企業は採用したすべての社員に(どの分野でもよいから)プロフェッショナルへの成長を期待することができるのです。
◆プロフェッショナルが育つ企業の5条件
プロフェッショナルが育っている企業を分析すると、5つの共通要因が浮かび上がります。
一番目の要因は「若年期にジョブローテーションを行っている」ことです。同じ仕事を長く続けさせることは非常に効率の悪いプロフェッショナルの育て方です。プロフェッショナルが育つ会社は、大抵入社後の10年間で2~3の仕事を経験させるという内規を持っています。社員は複数の職務を経験して、はじめて1つ1つの仕事を俯瞰的に眺める力を養えます。その経験を通じて1つ1つの仕事を客観的に見られるようになり、自分のキャリアに対する覚悟が決まるのです。
二番目の要因は「プロとそうでない人とを明確に区別している」ことです。安易にプロという言葉を使わず、給与に大きな差をつけるなどの施策を通じてプロであることの大切さを伝えています。
三番目の要因は「トップ・プロが必ずいる」ことです。全員がこの人のようになりたいと思うような人材が存在しています。
四番目の要因は「プロを求める領域を明確化している」ことです。企業戦略をベースとしてこの分野のプロが必要であると社員に明示しています。
五番目の要因は「他流試合を奨励している」ことです。本当にプロに育てようとするのならば、自社内で仕事をさせるだけでなく、他社の優秀な人材と一緒に仕事をさせる必要があります。競うことを通じて視野は広がり、成長意欲も強化されます。
◆リーダーシップとは何か
三隅二不二氏が開発したリーダーシップ論であるPM理論は、海外のリーダーシップの研究者に対しても大きな影響を与えました。PM理論はリーダーシップ能力を「目標達成行動(パフォーマンス:P)」と「集団維持行動(メインテナンス:M)」の2要因に分け、リーダーシップの類型化を試みたものです。
「目標達成行動」とは、会議の場面で言えば、「有力な意見を言う」「議論の進め方を提案する」などの行動で、目的・目標を達成するためにリーダーがどのような(水準の)行動をとるかという視点の分析軸です。「集団維持行動」とは、「議論しやすい雰囲気をつくる」「発言の少ない人に水を向ける」などの行動で、リーダーがメンバーのモチベーションを維持・強化するためにどのような行動をとるかという視点の分析軸です。PとMの2軸でP、Mのいずれも高い象限をPM、反対にどちらも低い象限をpm、Pが高く、Mが低い象限をPm、Pが低く、Mが高い象限をpMと区別し、リーダーシップを分析しています。部下の意欲・満足度、事故の発生率、生産性のいずれにおいてもPMの象限に属するリーダーの実績が最も高く、理想的なリーダー像ということになります。
仕事で成果を出す「職業能力」は、どのような仕事にも共通する「基礎力」とその仕事に特有な「専門力」とに分けられます。「基礎力」には対人能力、対自己能力、対課題能力からなるコンピテンシー部分に加えて、論理的、創造的な思考力や言語や非言語などの情報を処理する能力が必要になります。一方、「専門力」には仕事に特有な知識と技術・ノウハウなどが必要になります。
対人能力は愛嬌がある、問いかけにアクションするなどの「親和力」、仕事上必要な役割分担や動機づけをする「協働力」、意見を主張し、調整・交渉・説得などを行う「統率力」などの要素で構成されます。また、対自己能力は気持ちの揺れやストレスを制御する「感情制御力」、前向きな考え方ややる気を維持する「自信創出力」、よい行動を習慣化する「行動持続力」などの要素、対課題能力は情報を収集し、問題の本質を追求する「課題発見力」、解決のための適切な計画を立てる「計画立案力」、自ら行動を起こし、必要に応じて修正する「行動持続力」などの要素で構成されます。リーダーシップの形成にはこれらの能力に加え、「論理的思考力」や「早い段階でのリーダー経験(多様な場や失敗の経験)」、「ストレッチ(その人の力量よりも背伸びしなければ届かないような高い目標に挑戦させること)」なども必要になります。
◆プロフェッショナル人材育成のモデル-知の消費者から知の生産者へ
「筏下り」では目の前の激流を乗り切ることが必要になります。激流を必死に乗り切る中から技術やノウハウは蓄積されていきます。これに対して「山登り」では目標を1つに絞り、目標とする頂に向けてすべてのエネルギーを集中していきます。プロフェッショナルを育成するためには、「筏下り」を軽視せずに、新入社員からある一定の期間は「筏下り型」で基礎力をつけながら成長を促し、ある程度自分で仕事をコントロールできるようになった時点からは「山登り型」へと育成方法を変えていく必要があります。
リーダーになるとは変革・創造を担う存在になることです。プロになるとは「型」をマスターした後に自分なりの新しいやり方を加えて新しい知識を創造することです。いまある知識や仕組み・ルールは先人の知恵であり、リーダーは先人に敬意を表しながら新たな1行を加えることで変革や創造を成し遂げます。したがってリーダーの学習の仕方は「吸収する学習」から「考える学習」へと変わります。また、考える時の自分なりのスタイルを確立し、そのための環境を整えてゆくことも求められます。知の消費者から知の生産者への移行を促す人材育成方法が求められているのです。
企業の活性化
こんな人材に育てたい・・・とお考えの企業様にご利用いただいています。
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自己実現を支援
人生をもっと戦略的にマネジメント!
志をしっかり持つことで人生が豊かになることは、誰でも分かっていることです。
立志の対象はさまざまですが、ビジネスパーソンの自己実現は、仕事を志事にすることからスタートです。
- ビジネスパーソンとしての資質を高めたい
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